2019年10月5日(土)


先回
ニューヨークへ渡る作品のうち
大型キャンバス作品を木枠から剥がしたと書きました


剥がした木枠に画布を張れば
「また大きな絵が描ける!!」と作家は大喜び
早速綿麻布を上張りして描きました!



出来上がったのは
「お化けみたいな顔」

「お化けみたいな絵」カンバス(P80×2)145.5×194㎝20191002

                          194×145.5cm 20191002

目玉の幅が40㎝近くある
口幅も50㎝ほどある2m近い顔を
下書きも無く描けるなんて!
余程大きなものを描き慣れていなくては出来ないことでしょう



10月最初の作品
「鬼へのどれい」は久しぶりのF100号でした
大きな画面に
ほとばしる何かを
大きなストロークで思いっきり描きたいのです
その所為で四十肩になろうとも


「鬼へのどれい」カンバスF10020191001
               F10020191001

「鬼へのどれい」って?

西村一成の場合タイトルは後から付けますが
直截的に作品を表わすとは限りません

唸りながら内から絞り出された作品であることは確か



ところで
ハガシては張って描けばいくらでも大作も描けそうですが
現実的にそれはあり得ないわけで

今回のハガシも
海外搬送という困難をクリアするための苦肉の策
欧米のギャラリーにはハガシて送ってもOK!なのでしょうが
それは「フレーマー」という職業が発達しているからで
日本だったら作家が自身で張り戻すことになるか
外注すれば
張り戻す木枠代と手間賃も発生するわけで
やはりハガシて保管はあり得ないのだ




西村一成は
この大きさでもタッカーで張っています
柔らかい布地だから可能なのでしょう

_2080113
   F100号      P80を2枚繋いだもの( 194×145.5cm)



たとえば
超大型木枠を買い込み組み描き上げ
幸運にも運び出す(展示や売却)機会が訪れても

さて
どうやって家から出す!?
出せない!!
なんて笑い話みたいになる

F130号は194×162㎝
F150号は227.3×181.8㎝もあるのです!
仮縁や額が付けばもっと大きくなる

というわけで
高さ180㎝のドア枠から横にして出せるキャンバスは
ここではF130号が最大


天井の高い工場のようなアトリエや
美大のアトリエのような大きな出入口はない
古い普通の日本家屋ですから


西村一成の「組作品」は
ひとつの苦肉の策なのかも
いくらでも大きく出来るのだから


「そんな大きな絵ばっかり描いて~どうするの~?」
とよく言われたものですが

こうして発表の機会に恵まれると
描ける時に(描きたい時に)
「描いといて良かったがねぇ」

思わず名古屋弁も出ます